昨今、この業界では動物看護士を
国家資格にしよう!と言う動きが起こっています。
昨今と書きましたが、実は10年以上前からこの動きは水面下で起こっていました。
しかし、実際は何も変わっていません。
ムーブメントは起こっていません。
ごくごく一部の人たちががんばっているようですが…
動物看護士は全国に何万人いるんでしょうか?
毎年何百人と動物看護の専門学校を卒業します。
私は今のような専門学校ならばあってもなくても変わらないと思っています。(これは十何年と同じです)
近年は4年制の動物看護に関する学科(つまり大学)も増えています。
いったい誰が、どこで、何が目的で、このような現象を起こすのでしょうか?
私は動物看護士は、あくまで獣医師の協力の下で行う仕事だと思っています。獣医師あっての動物看護士です。
しかし、私たち獣医師は広義では動物看護士がいなくても仕事ができます。
そう、ある意味では看護士不要です。
あなたは、これまでいろんなところで私が言ってきたことと矛盾している、と思うでしょうが、
話は最後まで聞いてください。
まず動物看護士がいなくても仕事ができることについて考えてみましょう。
日本の多くの病院、少なくとも70%は
ワンマンプラクティスです。
獣医師が一人だけで運営している小規模な動物病院がほとんどです。
ではそこにはいったい何人の動物看護士が働いているんでしょう?
詳しいデータを持っていないので、あくまでも私が知っているいくつかの動物病院の例で言わせていただくと、かなりの確率で院長の奥さんが動物看護士の役割を担っています。
奥さん=動物看護士、と言ってしまえば確かに動物看護士は必要でしょう。
当院でも動物看護の専門学校出身のVTもいれば、ハローワークや新聞の求人募集できた全くの素人さんもいます。
他院では看護士と看護助手を区別しているところもあるようですが、じゃあ、仕事内容が違うかと言えば違いません。
どの病院でもほぼ同じ仕事を行います。
もちろん、当院でも専門学校を出た人も出ていない人も同じことをやります。
だから、給料も新卒ならば同じです。
大学を出ていなくとも、専門学校を出ていなくとも、獣医師の補助は誰でもできるのです。
これが日本の現状です。しかし、私が求めているのは、
VTです。
当然知識もテクニックもスキルも必要です。
私の理想とするVTは現在、自前で作っているのです。
保定も採血も血液検査もレントゲンもCTもリハビリもしつけ教室もできるのが
当院のVTです。
ホントはエコーや細胞診までやっても良いと思っています。
(今はなかなかここまでできるVTは当院にはいませんが)
アメリカにはこんなテクニシャンは普通にいるのです。
専門学校でここまで教えているのでしょうか?
あくまでも聞いた話ですが、犬猫の保定をぬいぐるみを使ってやっている学校もあるそうです。
ぬいぐるみを押さえることは小学生の子供でも簡単にできます。
じゃあ、実際の犬では…
こんなことしか教わっていない学生は保定すらできません。
もちろん、当院ではできないのが当たり前と思って、新卒者に接しています。
このような学校を出た学生が、専門学校を出ました!
もっと勉強がしたいです!
採血やりたいです!
ってきますがフェードアウトする人間もたくさんいます。
気力、体力、知力のレベルがついてこれないのです。
そこで私は思うのです!
学費として年間100万円以上払ってるだろうにいったい何を学んだんだ?
親の金使って、2−3年遊んだん?
動物病院をなめとんのか!?
と。
そこで動物看護士を国家資格に!?
誰が実現するんでしょ?
ホントに私たちの仕事なめてんの?
としか思えない暴挙ですよ。
まだまだ無理でしょ。
出直してこい!ってかんじです。
まあ、このままでは専門学校の経営陣に良いように使われてしまうのがおちです。
もっと考えましょ。
私が言いたいことは、
本物の動物看護士は必要ということです。
国家資格も良いでしょ。
しかし、教育を含めまだまだ状況が整っていないのに、資格だけ先走りしてしまっているんじゃないの?と言うことです。
別の側面では動物看護士が全くいない病院もあります。
そこでは看護師的な仕事は全て獣医師が行っているのです。
このような病院では、ほら、動物看護士いらないでしょ。
動物看護士を国家資格にするには獣医師が協力しなければいけないでしょうし、まだまだその流れはできていないように思うのは私だけ、でしょうか?
以前に、保定も採血も血液検査も、何でもできるかなりレベルの高いVTが、引っ越す関係で当院から他院へ行こうとしたことがありました。ある病院の先生には、看護士は保定と会計だけできればよい、と言われたことがあります。
要するにまだまだこんな土壌なのです。
あなたはこのような環境でどこまでがんばれますか?
当院で、何をやりたいんでしょうか?
一生捧げられる仕事は動物看護士なのでしょうか?
もう一回考えて、それでも決心できるなら当院にご応募ください。
http://www.noah-vet.com/entry/